マンションの防水工事で失敗しないために|工事のポイント・発注時の注意点を徹底解説
マンションは戸建て住宅よりも建物規模が大きく、屋上やバルコニー、共用廊下など防水が必要な箇所も多いため、防水工事の重要性は非常に高くなります。
防水層の劣化を放置すると雨漏りだけでなく、コンクリート内部の鉄筋が腐食し、建物全体の寿命を縮める原因にもなります。そのため、多くのマンションでは12〜15年程度を目安に大規模修繕工事と合わせて防水工事が実施されています。
しかし、工事内容や施工会社の選び方を誤ると、数年で再施工が必要になったり、高額な追加工事が発生したりするケースもあります。
この記事では、マンションの防水工事で押さえておくべきポイントや、施工会社へ発注する際の注意点について詳しく解説します。
マンションで防水工事が必要な理由
マンションには多くの防水箇所があります。
代表的な施工箇所は次のとおりです。
- 屋上
- ルーフバルコニー
- 開放廊下
- 共用階段
- バルコニー
- 外階段
- 塔屋(ペントハウス)
- パラペット
- 外壁シーリング
- エキスパンションジョイント
これらの防水性能が低下すると、雨水が建物内部へ浸入し、
- 雨漏り
- コンクリートの中性化
- 鉄筋腐食
- 外壁剥離
- カビや漏水事故
など重大な問題へ発展する恐れがあります。
防水工事を行うタイミング
一般的には次のようなタイミングが目安です。
| 状態 | 推奨される対応 |
|---|---|
| 築10〜15年 | 点検・必要に応じて補修 |
| 築12〜15年 | 大規模修繕と同時に防水更新 |
| 築25〜30年 | 防水層全面改修を検討 |
| 雨漏り発生 | 緊急点検・原因調査 |
防水材の種類によって耐用年数は異なります。
| 防水工法 | 耐用年数の目安 |
|---|---|
| ウレタン防水 | 約10〜13年 |
| シート防水 | 約12〜15年 |
| FRP防水 | 約10〜15年 |
| アスファルト防水 | 約15〜25年 |
耐用年数はあくまで目安であり、日当たりや排水状況、施工品質などによって前後します。定期点検を実施し、劣化状況に応じて補修・改修を検討することが大切です。
マンション防水工事で重要なポイント
① 雨漏りしてからでは遅い
雨漏りが起きてから工事を検討するケースもありますが、それでは建物内部まで傷んでいる可能性があります。
特に鉄筋コンクリート造では、
- 防水層
- コンクリート
- 鉄筋
の順番で劣化が進みます。
鉄筋が腐食すると補修費用は何倍にも膨らむことがあります。
予防保全の考え方が非常に重要です。
② 大規模修繕工事と一緒に行う
最も費用対効果が高いのは、大規模修繕工事と同時に防水工事を実施することです。
例えば、
- 外壁塗装
- シーリング打替え
- タイル補修
- 防水工事
を同時に行えば、足場を一度しか設置しないため工事費を大きく削減できます。
③ 防水工法は建物に合わせる
「一番安い工法」を選ぶのではなく、建物に適した工法を採用することが重要です。
ウレタン防水
おすすめの場所
- 屋上
- バルコニー
- 共用廊下
メリット
- 継ぎ目がない
- 複雑な形状にも施工可能
シート防水
おすすめの場所
- 広い屋上
メリット
- 品質が安定
- 工期が短い
アスファルト防水
おすすめの場所
- 大型マンション
- ビル
メリット
- 耐久性が高い
- 長寿命
④ 排水不良は必ず改善する
防水工事だけ行っても、
- 排水口の詰まり
- ドレン破損
- 勾配不足
があると水たまりが発生します。
水たまりは防水層を劣化させる原因になるため、
防水工事と同時に排水設備も点検することが重要です。
管理組合が発注するときの注意点
① 相見積もりは3社以上取得する
防水工事は業者によって価格差が非常に大きい工事です。
同じ内容でも数百万円単位で差が出ることもあります。
最低でも3社以上から見積もりを取得しましょう。
② 工法まで比較する
見積金額だけを比較してはいけません。
比較すべきポイント
- 使用材料
- メーカー
- 防水工法
- 施工範囲
- 下地補修範囲
- 保証年数
- 足場費用
工法が異なれば価格も耐久性も変わります。
③ 「全面改修が必要」という言葉を鵜呑みにしない
悪質な業者では、
「全面やり直しです」
と必要以上の工事を勧めることがあります。
実際には、
- 部分補修
- トップコート更新
だけで十分なケースも少なくありません。
第三者診断や複数社の意見を参考にしましょう。
④ 施工実績を確認する
戸建て専門業者ではなく、
マンションや大型建築物の施工実績が豊富な会社を選ぶことが重要です。
確認したいポイント
- 管理組合との取引実績
- 大規模修繕実績
- 防水工事専門実績
- 創業年数
⑤ 保証内容を確認する
保証年数だけではなく、
保証内容も確認しましょう。
確認項目
- 雨漏り保証
- 防水層保証
- メーカー保証
- 施工保証
- 定期点検
見積書で必ず確認したい項目
見積書では次の内容を確認しましょう。
- 防水工法
- 使用メーカー
- 商品名
- 平米数
- 下地補修内容
- シーリング範囲
- ドレン改修
- 脱気筒設置
- 保証年数
- 仮設足場費用
「防水工事一式」とだけ書かれた見積書は、工事内容が不明確なため注意が必要です。
管理組合が失敗しやすいポイント
安さだけで決める
最も多い失敗例です。
価格だけで選ぶと、
- 下地補修を省略
- 材料の品質を下げる
- 必要な工程を省く
などのリスクがあります。
管理会社任せにする
管理会社から紹介された業者だけで決めるのではなく、
第三者コンサルタントや複数業者の見積もりも参考にしましょう。
長期修繕計画を見直さない
防水工事は長期修繕計画に基づいて実施することが重要です。
修繕積立金とのバランスも考えながら、計画的に工事を進めましょう。
よくある質問
Q. 防水工事だけを行うことはできますか?
可能です。
ただし、足場が必要な場合は外壁塗装やシーリング工事などと同時に施工した方が費用を抑えられることが多くあります。
Q. 防水工事は何年ごとに必要ですか?
防水材にもよりますが、一般的には10〜15年ごとの点検・改修が推奨されています。
大規模修繕工事のタイミングに合わせて実施されるケースが一般的です。
Q. 管理組合は何社くらい見積もりを取るべきですか?
最低でも3社以上の見積もりを取得することをおすすめします。
価格だけでなく、工法や保証内容、施工実績も比較しましょう。
Q. 防水工事中も居住できますか?
ほとんどの場合、居住しながら工事を進めることが可能です。
ただし、工事期間中は屋上やバルコニー、共用廊下などの利用が一時的に制限されることがあります。
まとめ
マンションの防水工事は、建物の資産価値や耐久性を維持するために欠かせない重要な工事です。
特に管理組合が発注する場合は、価格だけで判断せず、施工実績や工法、保証内容、見積書の内訳までしっかり比較することが重要です。
また、防水工事は外壁塗装やシーリング工事、大規模修繕工事と同時に実施することで、足場費用を削減できるほか、建物全体のメンテナンス効率も向上します。
大切な資産であるマンションを長く安心して維持するためにも、複数の施工会社から見積もりを取得し、建物の状況に合った最適な防水工事を選択しましょう。

永田 修
住宅メンテナンス・リフォーム分野を中心に情報発信を行うWeb編集者。
防水工事、外壁塗装、雨漏り対策、住宅リフォームに関する情報を収集・分析し、一般の方にも分かりやすい形で解説記事を執筆している。
当サイトでは、防水工事の基礎知識、費用相場、業者選びのポイント、悪質業者への対策などを中心に担当。
利用者が適切な判断を行えるよう、公的機関の情報や業界資料、事業者が公開する情報を参考にしながら、中立的な立場で記事制作を行っている。
主な執筆分野
- 防水工事
- 雨漏り修理
- ベランダ防水
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